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2.2.2 精神的、身体的、遺伝的健康度の事前調査
動揺暴露実験の実施に先立って、被験者の健康度のチェックを行い、その分類、被験者としての適性のチェックを実施した。
1)精神的健康度のチェック
精神的健康度のチェックは、被験者の平常時の精神的、性格的健康状態を知るために行われた。このチェックには通常よく用いられ、国際的にも認められた。
?ライフスタイルから見た健康度、
?性格・行動尺度から見た健康度、
?ストレス度から見た健康度、
に関するアンケート調査に
?乗り物酔いに対する耐性度
を加えて、50項目からなる設問に(はい、いいえ)で答えるアンケート調査票を作成して行われた。表2.2.2−1にアンケート調査票を示す。また、アンケート調査票の「はい」の数によって表される健康度の診断の基準を表2.2.2−2に示す。
ライフスタイルに関する調査は大阪大学医学部環境医学講座(森本兼曩教授)において開発されたアンケート調査法で、日常のライフスタイルの良し悪しから被験者の健康度、疾病に対する耐性を診断できる方法であり、世界的に注目されている手法である。
性格行動尺度の診断における「タイプA」とは臨床医学の分野で用いられている指標で以下のような意味を持っている。
タイプAの行動パターン:
・自ら選んだものの、しばしば明確には規定されていない目標を達成しようという強烈で持続的な欲求を持つ。
・競争心が異常に強い。
・常に、周囲からの高い評価や昇進を望む。
・常に,多くのしかも互いに関連の乏しい仕事に没頭しており、その結果いつも締切に追いまくられている。
・自分の精神的・肉体的活動の速度を常に速めようとする。
・精神的・肉体的に著しく過激である。
これに対して「タイプB」の者は正反対の性格と考えて良く、その行動パターンの特徴は、
・欲求・野心・時間に関する切迫感・競争心・締切のある仕事へののめり込み度合い等が相対的に低い。
である。
全ての人に当てはまるとは限らないが、「タイプA」の性格を持つ人は狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患を起こす可能性が高いといわれている。

 

 

 

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